
日本法育学会は、2026年1月16日に、東京地方裁判所で裁判傍聴をしました。
当日は、複数の裁判員裁判が行われており、参加者は、マンションの管理人による現住建造物放火事件と、外国人による麻薬密輸事件とに分かれて裁判の一部を傍聴しました。
以下、参加者の報告です。
裁判を傍聴してリアルに感じたことは、自分が「国家」の中で生きているということだ。私たちは法律によって守られ、同時に厳しく律せられているのだと感じた。そして日本は幸いなことにそれが民主的に行われている。傍聴した裁判は外国人の薬物事犯だったが、通訳の能力が素晴らしく、審理も細かく行われていた。裁判傍聴によって、現実世界と自分の立ち位置、人間のやるせなさなど大いに考えさせられ、また傍聴に行きたいと思った。


第65回全国矯正展が令和7年(2025年)12月6日(土)・12月7日(日)に東京国際フォーラムで開催されましたが、日本法育学会は、12月6日(土)に、全国矯正展見学会を行いました。
会場は既にたくさんの来場者で混雑しており、刑務所作業品を買い求めるために参加した会員の方々の中には、目的の刑務所作業品販売ブースまで、なかなかたどり着けない方もおりました。それでも、刑務所見学会をしたことのある川越、府中、宮城の各刑務所のブースで、「これらの製品を作っている現場を見た」と話した会員の方もおりました。
今回の見学会には、学生の参加もありましたので、会員の皆さまが、学生の出身地の刑務所の特徴などをお話くださいました。また、学生は、法務省や警視庁の車両展示を見るだけでなく、白バイに実際に乗ってみたりしました。そのほか、学生は、刑務官などの刑務職員募集のコーナーや、警視庁警察官募集のコーナーで、勤務内容や採用試験の説明を聴いたりしていました。
ひととおり見学を終えたところで、昼食時間となりました。会員の皆さまや学生は、キッチンカーで、横浜刑務所のパスタや、刑務所レシピのカレーなどを注文し、昼食をとりました。
なお、すでに懲役刑や禁錮刑は、拘禁刑へと変わっています。実際に受刑者の大半が拘禁刑の受刑者となるにはしばらく時間がかかることを、宮城刑務所見学に参加された会員の皆さまは知っていますが、それでも、裁判傍聴をしていると、少しずつ拘禁刑の判決言い渡しが出てきていますので、拘禁刑へと制度が変わったことにより、どう変わっていくかを、パネルを見ながら考えてみました。
そのほか、法テラスなどの関係団体のブースで、会員の皆さまや学生は、さまざまなことを知ることができました。
日本法育学会では、今後もこうした見学会などを通じて、社会を知る活動をしてまいります。


日本法育学会は、令和7年(2025年)10月24日(金)、日本法育学会は、東京税関「情報ひろば」、日本科学未来館、海洋情報資料館の見学会を行いました。以下、参加した学生の感想です。

東京税関において、私は特に税関検査の際の対応が勉強になった。税関検査とは、違法薬物や輸入が禁止・規制されている物品を日本国内に持ち込ませないために、現品を確認して調べることである。その際、職員だけでなく麻薬探知犬をも活用して、徹底的に検査にあたっている。麻薬探知犬は、どんな犬もなれる訳ではなく、4か月の厳しい試験に合格しなければならないということが分かり、改めて麻薬探知犬の凄さを実感した。

科学未来館ではドームシアターで「バースデイ〜宇宙とわたしをつなぐもの〜」を鑑賞し、私たちが存在している地球と宇宙の関係について、深く理解することができた。
海洋情報資料館では、一般に海図と呼ばれているものは、「航海用海図」のことであり、「航海図」、「海岸図」、「港泊図」の3種類が使用されているということが分かった。また、伊能図模写図や一級図化機など、中々見れないものを実際に閲覧して、刺激を得ることができた。

令和7年(2025年)9月27日(土)、第12回東京拘置所矯正展が行われましたが、日本法育学会は、東京拘置所矯正展見学会を行いました。
東京拘置所矯正展は、単なる刑務所作業品展示即売会ではなく、東京拘置所のある葛飾区や隣接する足立区といった地域の行事です。そのため、地元自治体や団体、町会などによる展示・販売が活発に行われていました。見学会参加者が到着したころ、ちょうど、メインステージでは、地元中学校生徒たちによる演奏会が行われていました。
薬物乱用防止のブースでは、栽培が禁止されている「けし」の見分け方が展示されていましたが、見学会に参加した学生たちから、「道端に咲いている花がヒナゲシなのか違法なけしなのか、区別がつかない」という意見が出て、違法薬物問題の難しさを実感しました。
また、教誨師のブースで、そもそも教誨とは何かを、教誨師の皆さまから紹介していただき、教誨師という仕事があることを知らない学生たちの勉強になりました。
見学会参加者の中には、宮城刑務所見学会参加者もいましたが、その際、刑務所の役割として、災害時に避難所として開放する等、災害時の被災地での協力があることを教えていただいていました。東京拘置所矯正展では、特別機動警備隊の展示があり、能登地震などでの活動のパネル展示のほか、担架やチェーンソーなど災害時に使われる機器が展示されていて、興味深く展示を見ていた学生もいて、「宮城刑務所で聞いてはいたけど、実際に機器を見てみて、よくわかった」と話していました。
なお、今回の見学会には、船山弁護士にもご参加いただき、東京拘置所の歴史や、重要文化財に指定された旧小菅刑務所庁舎のこと等を解説していただきました。
ひととおり見学を終えたころ、昼食時間となりました。見学会参加者は、長い列に並び、プリズンカレーを食しました。食事をしている近くで、この大人気のプリズンカレーについて、テレビの取材が行われていました。
日本法育学会は、今後もこうした見学会などを通じて、社会を知る活動をしてまいります。

日本法育学会は、2025年9月3日に、千葉地方裁判所で裁判傍聴をしました。
会員の皆さまのほか、多くの学生が参加しました。参加者それぞれ興味のある裁判を傍聴するはずでしたが、いくつかの裁判員裁判の審理のほか、開廷する裁判の多くが審理や判決で、新件の裁判は入管法違反事件1件のみでした。参加者全員がこの裁判を傍聴できるか心配になりましたが、幸い、法廷が裁判員裁判用の大きな法廷で、参加者全員傍聴することができました。
被告人はタイ人女性です。被告人は、就労目的にもかかわらず、短期滞在ビザで成田空港から入国し、そのまま成田近辺で農作業手伝いとして働きました。給料の一部はタイの家族に送金して、貧しい家族の生活を支えていました。
ところが、被告人は体調不良で入院して、その病院で不法滞在が発覚しました。
事件としては単純なものでしたので、起訴から結審までひととおりの裁判手続きが終わり、数分後に判決が出ました。判決は拘禁刑1年、執行猶予3年となりました。
この裁判で印象に残ったことがいくつかあります。まず、今年6月に施行された刑法改正で、懲役刑と禁錮刑が、拘禁刑に変更されましたが、この刑法改正が適用されるのは改正後の犯罪についてです。ようやく拘禁刑の判決が出てきました。
つぎに、裁判中、検察官も弁護人も裁判官も、被告人に対して「もう日本には二度と来ないことを約束できますか」と念を押して質問をしていたことです。不法滞在とはいえ、日本が大好きで日本を選んだにもかかわらず、もう二度と日本には来ることができません。このことに、何名かの学生は複雑な気持ちになったようです。
さらに、この裁判は、法廷通訳を介して行われましたが、場合によっては通訳の仕方で被告人の人生が変わりかねませんので、法廷通訳の仕事は大変だと感じました。
なお、近時、外国人犯罪の増加が社会問題となっていますが、成田空港のある千葉県は、特に不法入国や不法滞在などの犯罪が多いようです。多様性を認め、増加する外国人と共生するという課題がある一方で、不法入国・不法滞在の外国人にどう対応するかという課題にも向き合わなければなりません。これは簡単な問題ではないと思います。
日本法育学会は、2025年6月28日に、船山泰範弁護士の講演会「117年ぶり刑罰改定を考える — 拘禁刑の導入と死刑問題」を開催いたしました。会員のご協力により、交通至便な高田馬場駅から歩いてすぐの会場で開催することができました。
講演会といいましても、実際には、裁判員裁判で被告人が有罪か無罪か、有罪の場合に量刑をどうするかを裁判官と裁判員で決める評議の形で、講演会出席者全員が参加する模擬評議の形式でした。出席者には意外な形式でしたが、よくよく考えてみますと、私たち日本法育学会は、主体的に行動する人間を育成するのが目的ですから、この模擬評議の形式は、この目的に合致するものでした。
模擬評議の対象となる事件は、「一家4人皆殺し」の疑いで起訴された事件です。もしこの事件の被告人が有罪であるとすると、量刑で死刑を求められる可能性が高くなります。そこで、裁判員から予め死刑についての意見を求め、裁判官が一覧表にして、模擬評議参加者全員が考えることにしました。
一覧表には、憲法的視点、刑罰論、刑事手続き、犯罪原因・対策論、国際的視野、社会的視点など多岐にわたり、20個の論点があることが示されました。
おりしも、懲役刑と禁錮刑が拘禁刑に変わった月であり、さらには、前日に3年ぶりの死刑執行がされた直後でもありました。そのため、出席者の議論は尽きることはありませんでした。
船山弁護士は、高等学校でも同様の模擬評議を行う予定です。議論の尽きることのないこの問題を、高校生たちはどのように考えるでしょうか。
日本法育学会は、2025年3月28日に、東京地方裁判所で裁判傍聴をしました。以下、参加者の報告です。
日比谷公園の桜も八分咲きの3月28日、船山弁護士が国選弁護人を務める公判を行政書士6人で傍聴しました。
被告人はウズベキスタン国籍の20代の男性。令和6年12月に、「モペット」などと呼ばれるペダル付き電動バイクを時速40キロで走行していたところ職務質問を受け、無免許であることと在留期間が5年以上過ぎていたことから起訴されました。最近話題の「ペダル付き電動バイク」は、「バイク」つまり車両の仲間なので自動車免許やヘルメット、ナンバープレートも必要になります。
(参照:「電動アシスト自転車」と「ペダル付き電動バイク」の違いについて 警視庁)
判決は懲役2年6月、執行猶予4年という上から2番目に重い量刑になりました。
入管法第24条によると「次の各号のいずれかに該当する外国人については、本邦からの退去を強制できる」として「懲役又は禁固に処せられたもの」(入管法第24条4の2)とされています。たとえ執行猶予の言い渡しを受けた場合でも、1年以上の懲役もしくは禁固またはこれらに相当する刑に処せられたときは無期限の上陸拒否事由に該当します。(入管法第24条)彼が再び日本の地を踏めることになるのはいつなのでしょうか。
ところで行政書士の仕事の一つに在留資格の申請取次業務があります。私自身は実際に入管法違反の刑事事件に直接触れたことはありません。また多くの行政書士も入国管理局に行くことはあっても裁判所を訪れることは通常なかなかないことが現状で、「今まで裁判を傍聴したことがない」という行政書士も少なくありません。
その点を踏まえると、日本法育学会の目指す「模擬裁判員裁判や裁判傍聴を通して、法の理念や社会の在り方を考えるとともに、自立した市民を育てる」という理念がいかに重要なのかと考えさせられました。学校教育の中で実際の機会に触れていなければ、自分から裁判を傍聴することはハードルが高いと思われます。
また今回の裁判傍聴は自身の業務を別の面から考える良い機会となりました。他の行政書士からも貴重な学びの場となったという声がありました。裁判が公開になっていることの意味、重要性をもっと広めていく必要性も感じた一日でした。
日本法育学会は、2025年3月4日に、宮城刑務所を参観しました。以下、船山弁護士の報告です。
宮城刑務所は、刑期が10年以上で犯罪傾向が進んだ人を収容している施設である。無期懲役で49年入所している受刑者もいるという。したがって、他の刑務所と異なり、刑務作業や社会に出るための改善指導がどの程度彼らの役に立つのか、処遇する側にとっては気になっているとのことであった。
当日は会議室にて、予めわかりやすい説明を受けた後で、木工作業などの刑務作業を見せていただいた。概観を理解した上での参観だったので、闊達な質疑応答がなされた。
ところで、本年6月1日から、更生教育を中心とした拘禁刑が言い渡されることになる。刑務所では、暫くの間、従来の懲役刑と拘禁刑とを並行して実施する必要があるため、刑務官の日々の職務の多忙化が心配されるとのことであった。
例年3月には満開になるという臥龍梅(伊達政宗が朝鮮から持ち帰ったもの)が施設の庭にある。このところの寒さで、蕾がほころび始めている状況であった。あと数日で開花することだろう。
弁護士 船山 泰範
日本法育学会は、2025年1月17日、千葉地方裁判所で裁判傍聴をしました。
当日は、道路交通法違反事件や詐欺事件など、いくつかの裁判がありましたが、参加者は分かれて裁判を傍聴することにしました。ここでは、道路交通法違反事件の裁判について報告します。
被告人は、自衛官をしたのち、両親が営む会社の会社員として働いていました。なお、会社の業務を行うには自動車があると便利ではあるものの、既に亡くなった父親も、被告人も、ふだんは業務として自動車を運転してはおらず、日常生活で自動車が必要とまではいえないそうです。
また、被告人は、外出先でお酒を飲むことはほとんどなく、家で寝るために晩酌としてお酒を飲む生活をしていたそうです。ただ、日本酒を飲むと美味しくて、ついつい飲み過ぎて、記憶がなくなることがあるようです。
そんな被告人が、都心での飲み会に出席することになりました。そこで、被告人は、ある日の夕方、自動車を運転して、都心直通の鉄道駅前の駐車場に自動車を停め、鉄道で都心に行きました。そのときは自動車は翌日とりに行くつもりだったようです。
ところが、被告人は、飲み会でどれほど飲んだか分からない程飲み過ぎたのに、深夜に駐車場から自動車を運転し、自宅とは別の方角に向かい、対向車線に飛び出したりしながら運転し、しまいにはガードレールにぶつかる自損事故を起こしてしまいました。
事故の瞬間とふらつく被告人を見た人が通報し、被告人は逮捕・起訴されました。検察も弁護人も事実関係は争っていません。
弁護側の証人として、被告人の実母が証言していました。証人は、被告人がこれまで真面目に働いてきたこと、そして、今後被告人を証人が面倒をみることを証言していました。
被告人は、もう自動車を運転しないこと、そして、外出先でお酒は飲まないことを誓っていました。仕事の取引先にもそのことを伝えておくことも約束していましたし、自動車の運転をしないことや外出先で飲酒しないことで困ることはないとも言っていました。
検察官の求刑は懲役10か月で、弁護人は罰金または猶予を求めていました。事実関係の争いがないため、すぐに懲役10か月執行猶予3年の判決が出ました。
近時、「スロードリンク」「ドリンク・スマート」「スマートドリンキング」など、アルコールとの付き合い方が見直されています。また、自動車中心の社会から、コンパクトシティなど、公共交通機関を活かした政策が掲げられています。今回の事故はたまたま被害者がいなかったからまだよかったのですが、社会の在り方を考えさせられる裁判でした。
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