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          The Legal Mind Education Of Japan

理事長からのお知らせmessage


「旧門司税関見学」


 先日、旧門司税関を見学いたしました。
 常に外国から人が行き来していた福岡県、山口県。日本人が知らない精緻な武器や薬物、高度な文化に脅威を感じつつ取り入れて、国を変革した若き獅子たちが闊歩する姿が目に浮かびます。
 自由貿易を推進するも違法薬物などの侵入を防いだ税関の役割は大きいでしょう。
 関門海峡では、今も大砲が日本海を睨んでいます。

  令和6年1月21日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


「日本大学ダイバーシティシンポジウム」


 「日本大学ダイバーシティシンポジウム」は、他大学の取組みをはじめ、各学部長の姿勢、学生の取組みの発表等、とても充実した学びの機会となりました。4月28日に酒井学長を中心にダイバーシティ推進宣言がなされ、多様性社会における大学として船出したことをが明確化されました。今後は、女子学生、他国籍、障害者、LGBTQ+の方々にも大きく門戸が開かれた総合大学としての社会的責任が問われます。
 とても長いこと日本のアカデミア、そして、日本大学の男性優位主義は継承されてきました。ご本人たちが気づかなくてもガラスの下駄を履き、ガラスのエスカレーターを登れるのが当たり前の男性たち。その陰で、たくさんの涙を流した人々がいることに思いをはせた男性はどれほどいるのでしょうか。変革に、理事長が女性、会合に女性を入れる程度の取組みだけでは、もう間に合いません。多角的アファーマティブアクションが必要です。そのためには、女性をはじめ多様な方々から意見・提案を行うこと。組織はそれを真摯に受け入れ、対策を練ることができる体制作りが必要です。
 今回の講演会から、大学教育の中で、個々人の資質、バックグラウンドの違いを理解しようとする視点を醸成する機会を積極的に取り入れた教育課程を構築することが第一歩だと思いました。

  令和5年7月2日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


映画「イチケイのカラス」

 映画「イチケイのカラス」がいよいよ公開されました。
 竹野内豊さん演じる誠実に真実を追求しようとするちょっと変わった裁判官と手間がかかる捜査や手続きに不満を漏らしつつ誇りに感じている関係者たち。とても自分の中の正義感を揺さぶられる映画でした。
 きっと作者は、「こうだったらいいのにな~」と現状の司法に一石を投じたかったのかも知れません。
 先般お話しした木谷明先生をモデルにしている方は、小日向文世さん演じる裁判官でしょうか。
 司法権の独立を謳いながら行政権に支配されている裁判官、正義を貫いて弱者を守るという志をもってせっかく司法界に入ったのに、真実を追及することは二の次で、上命下達に逆らえば出世できない構造に精神を病んでしまう裁判官・検察官も多いと聞きます。
 本日、東電旧経営陣への無罪判決が出ました。どれだけ多くの人が唇をかみしめたことでしょう。責任は東電だけにないとしても、日本の司法はどちらを向いているのかしら、と思う冬の夕暮れです。

  令和5年1月18日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


押田茂實先生『最終法医学講義』


 50年間法医学界で、DNA型鑑定の第一人者としてご活躍されました押田茂實先生が、この度、これまでの鑑定と実績の成果をまとめられた書籍を発刊されました。
 『最終法医学講義』I~IVです。カラー版で具体的に事例が示され、とてもわかりやすくまとめられています。
 DNA鑑定により、数々の真実を突き止め、冤罪を防いでこられた押田先生の熱意がひしひしと伝わってくる記録です。
 法医学者だけでなく、法学者、薬学者、そして、裁判官にも手に取っていただきたい書籍です。

  2022年4月17日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


新年度ご挨拶

皆さまお変わりなくお過ごしでしょうか。

 春の訪れと新たな出発に胸弾む時期ですが、ウクライナの人々の悲しみや苦しみを思うと、同じ地球に棲む人間として何ができるのかを日々考えております。
 さて、日本法育学会は、COVID-19の拡大から学会としての活動を縮小し、約2年間は個別的な活動をして参りました。例えば、犯罪被害者支援や加害者支援、被虐待者相談受付や虐待関係研究、裁判傍聴等です。
 新たな変異ウイルスの拡大も懸念されておりますが、今年度は、昨年度実現できなかった講演会や例年以上の社会貢献ができるよう努めたいと考えております。

 ご指導ご鞭撻の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  2022年4月10日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


明けましておめでとうございます

皆様に幸多きことを心からお祈り申し上げます。

 日本法育学会は、人を見つめ、社会の在り方を考え、主体的に行動するための気づきを得る機会を提供したいと考えております。
 昨年度は「虐待を防ぐために私たちにできること」と題して、虐待の根本にある問題、虐待被害から生み出される人生の歪みなど、一般書では決して知ることができない貴重なご講演、ご発表をいただきました。虐待は社会が破壊される一因であり、誰もが加害者・被害者になりうることを強く感じました。性的役割分業等のアンコンシャス・バイアス(unconscious bias)に気付くことがダイバーシティへの扉を開くことでしょう。多くの皆様に知っていただくために、来年度には書籍化する予定です。
 また、今年度の締めくくりとして、虐待研究の第一人者の鈴木秀洋先生にご講演いただきます。詳細は、HPでご確認ください。

 今後とも日本法育学会をどうぞよろしくお願い致します。

  2022年1月1日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


「こころの時代」「イチケイのカラス」

 9月12日㈰ 早朝5時から6時 NHK Eテレ 「こころの時代」 で、本会名誉理事である木谷明先生の生き方が紹介されます。皆様、録画してどうぞご覧下さい。
 また、木谷先生の被告人への公平な向き合い方を元にした刑事裁判官を主人公にしたドラマ「イチケイのカラス」。裁判官を竹野内豊さんが演じています。
 ついに、「イチケイのカラス」の映画化が決定致しました。楽しみですね。こちらもお見逃しなく!

  2021年9月5日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


裁判傍聴報告

 社会を知る活動の一環として、8月3日に千代田区立麴町中学校の生徒47名を引率し、東京地方裁判所裁判傍聴を行いました。
 コロナ禍で傍聴席には少人数しか入れないので7班に分かれて、詐欺事件、暴行事件、覚せい剤事件等を傍聴しました。
 傍聴終了後は、それぞれの事件についての内容と感想を話し合いました。生徒たちは初めての経験に、少し緊張している様子でしたが、もっと知りたい、調べたいという意欲を感じました。

  2021年8月18日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


木村敬一さん

 8月17日(火)午後7:30~8:42 サラメシ 真夏のSP!~東京2020の舞台裏だって働くオトナは腹がへる!~に、パラリンピック全盲の競泳メダリスト 木村敬一さんが出演しました。
オンデマンドでご覧ください。
 木村さんとは、渡邊淳先生のもとで演劇教育と法育について共に語り合いました。とても穏やかで懐の広さを感じさせる優秀な方ですよ。是非、応援よろしくお願い致します。

  2021年8月18日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


「フォーラム90」を拝見して

 「フォーラム90」の配信を拝見して、法育学会の価値を再確認しました。
 死刑は、国民を代表して刑務官が執行します。つまり、「国民全員が殺人をしているのと同じ」という木村草太氏の言葉が胸に刺さりました。また、青木理氏の取材から死刑制度の閉鎖性は国民を精神的負担から回避させていることにも気づきました。
 つまり、本来責任ある立場の者たちが、一部の人の手が汚れるのを放置し、見ぬふりをして責任はとらない、という日本社会の無責任主義を露呈しています。
 しかし、これまで日本の学校教育の中で、人権について考え、国民全員が殺人者になっていることを知る機会があったでしょうか。民主主義が成熟している国々では、日常生活や学校教育において人権について意識させる機会があり、個人に人権が存在することを前提に教員は指導し、議論されます。
 1994年「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)に日本の批准が決まった時の教員たちの反発と戸惑いは凄まじいものでした。私は学校現場でその様子を目の当たりにし、「教員たちは、子どもに人権を認めたくないのだな」と思ったことを覚えています。
 日本法育学会は、様々な社会の現場を見て体験して考えることを大切にしています。そして、自分も含め、社会についての無知に気づくのです。当事者意識、他者意識が重要なことはわかっています。でも、学校教育で社会の現状を肌で感じる機会が皆無に近い状態である今、まずは「知ること」こそ、思考停止から抜け出す一歩ではないでしょうか。「知ること」そして、「気づく」ことこそが、人間が人間であるための教育であると思っています。
 10月23日(土)の開催の、第5回全国研究大会のテーマは「虐待を防ぐために私たちにできること」です。是非、子どもたちへの虐待の現状を知り、原因を探る必要性に気づいてほしいと思います。

  2021年7月11日
                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


自立した市民の育成

 日本法育学会は、「自立した市民の育成」を大きな目標として、模擬裁判員裁判の指導、裁判傍聴引率と解説、更生施設参観、講演会、研究会など様々な教育活動を行っております。法育研究会の時代を含めると、その活動は今年で25年になります。話題の千代田区立麴町中学校の模擬裁判員裁判指導は、その教育的価値を認められ、10年間継続しており、既に3年生の学校行事となっています。
 自立した市民には、「論理的思考力」「公平・公正な判断力」が求められます。それは、グローバル社会において最も重要な力の一つです。前提として、社会事象を多角的・批判的に見つめる見識が必要ですが、それは資質能力というよりも訓練によって誰もが身に付けられるものと考えています。議論をする機会を用意すれば良いのです。これまでの経験から見てみると、たった数回の指導で、子どもたちは学習や生活に意欲的になり、社会問題解決のために動き出すことが多いことからも察することができます。
 近代社会になっても、日本人は予定調和を好み、強い同調圧力が蔓延る社会で生きているので、議論することを「争い」のように捉え、議論後の気持ちの切り替えが苦手です。それは単に議論することに慣れていないだけであって、議論場面や機会が増えることにより、表現の自由の価値を実感できると思います。大人の意識変革も必要でしょう。裁判という特別な場を設定することで、現実事象を現実から切り離して考えられ、裁判員という裁判を運営する立場で法律を学習しつつ、他者意識を有しながら老若男女が自由に主体的意見を述べられる機会を提供するのが模擬裁判員裁判です。
 令和元年の研究大会では、司法への市民参加のもう一つの場である「模擬検察審査会」に挑戦しました。これほど実際に近い形での実践は、おそらく日本初ではないでしょうか。裁判員裁判と検察審査会は車の両輪に例えられます。しかし、発足以来60万人以上が検察審査会に参加しているにも拘わらず、その「非公開性」と「司法による価値の軽視」により、一般人は無知のままです。模擬裁判員裁判が、裁判員として裁判に参加するための知識獲得と主体的議論の練習となっているように、模擬検察審査会も同様の効果が期待されます。
 2019年は、裁判員裁判が開始されて10年、検察審査会に法的拘束力が付与されてから10年という節目の年です。そこで、三井誠先生に検察審査会の歴史とその価値についてご講演いただき、模擬検察審査会を全公開方式で実施しました。午後のシンポジウムでは、元裁判官、元検察官、弁護士、研究者の先生方に、検察審査会の現状と今後について議論していただきました。終了後、多くの方々からの、「この素晴らしい制度を広め、活性化すべき」との声が印象的でした。
 当日の様子を含め三井先生のご講演、検察審査会制度と裁判員制度の相違等は、『日本法育研究第4号』に掲載されています。
 令和2年(2020年)の研究大会は、「虐待を防ぐために」と題しまして、戒能民江先生の基調講演をはじめ実践家のシンポジウムを予定しておりましたが、COVID-19の感染拡大により中止とさせていただきました。今年も、対面形式での大会開催は難しいかも知れませんが、実行方法を工夫し実施したいと考えております。これからも日本法育学会は、研究と実践を進めて参ります。

 皆様、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

                                        日本法育学会
                                        理事長  平野 節子


日本法育学会


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