今や麹町中学校は、日本中で話題になっている公立中学校です。
法育学会は、10年前の法育研究会時代から、主体的・論理的判断力の育成を目的として、麹町中学校の指導にあたっています。9月28日(金)13時から千代田区立麹町中学校3年生による模擬裁判員裁判「主体性育成裁判」が行われました。当日は、保護者の皆様、地方から視察にいらした沢山の先生方、そして、2年生も傍聴しました。
今年の題材は、『西町駅ホーム転落死事件』です。酔って被告人につきまとった被害者が、被告人に突き飛ばされ線路に転落し死亡したという、実際に西船橋駅で起きた事件をもとに脚本を作成しています。船山泰範先生が作成し、平野がそれを中学生向けに簡略化した脚本で、脚本の総ページ数は7頁です。傍聴している方々に裁判のどの過程を行っているのかわかるように、「冒頭陳述」「証拠調べ」などの手続の流れやDNA鑑定書や証拠物などは、生徒たちとも相談しながら、麹町中学校の担当の先生が準備し、協働で生徒たちを支援しました。
脚本には、証人質問や被告人質問の記載は無く、また、公判後の評議の場面の脚本は、一切ありません。生徒たちが、どのような質問をしたら真実に近づけるのかを主体的に考え、脚本に書き加えていきます。公開評議では、質問によって得られた証言や、出された証拠に基づいて話し合いを行います。
裁判長は、裁判員・裁判官の意見を整理し、評決に導く進行役としてとても重要です。以前には、まとめられる自信がないからと評議の場面は、裁判長を船山先生が行うこともありましたが、今年は、とても責任感のある女子生徒が、練習時も含め、最初から最後まで裁判長として、裁判体全体をまとめ、意見を整理しながら進行していました。
練習の時間は、文化祭が近いこともあって、放課後、4時から5時の1時間で、7日間行いました。限られた時間の中で、脚本を読み込み、それぞれが他者に伝えるための表現方法を工夫していました。私たちが指導したのは、法律用語の説明と自分で考えて表現することの楽しさです。
被告人と被害者の動きを実際に再現した方が、よりわかりやすいのではないか、この言葉を発したということは、積極的に行為したのではないかなど、連日熱い議論がなされ、本番ぎりぎりまで、正当防衛の認否について葛藤していました。
本番では、練習で出てこなかった意見や動作化の加えるなど、自分たちで作り上げるという意欲に満ち溢れ、一人ひとりが輝いていました。
模擬裁判は、中学生には難しくて効果が薄いということを言う人がいますが、20年以上の経験やアンケートからは、模擬裁判に参加したことで、その後の物事への取り組み方が意欲的になった、社会に関心を持つようになった、という意見が多くあります。「法律用語や裁判という形式が難解だ」、「指導が大変そうだ」などのイメージが先行しているのではないでしょうか。私たちは、日本全国どこへでも指導に行くことができます。子どもたちの輝く笑顔と成長のために、是非、「主体性育成裁判」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
東京拘置所矯正展見学会を行いました。
当日は台風が迫る中でのあいにくの雨である上に、人気グループのテープカットイベント等が行われて矯正展来場者が殺到したため、なかなかゆっくりと見学することはできませんでした。
それでも、刑務所作業品の展示即売や性格検査などのほか、「まちとともに」のテーマどおり、葛飾区や足立区のブース、各地の社会福祉協議会のブース、警視庁や東京消防庁、自衛隊などの展示もあり、特に地方公務員志望の学生たちが興味深く展示を見ていました。
また、船山泰範弁護士による東京拘置所の歴史や施設などの解説も行われ、特に拘置所周辺に住んでいながら拘置所のことをよく知らなかった会員は解説に耳を傾けていました。
中央学院大学法制研究室との共催で、裁判傍聴を行いました。
当日は、信号無視による交通事故、不法就労事件、暴力団員による暴行事件の3班に分かれて傍聴しました。
信号無視による交通事故は、前科4犯(うち交通3犯)の者が自動車が信号を無視して自転車をはねた事故でした。被告人が被害者と示談交渉中であるため、示談を待ってその後の裁判を進めるとのことでした。
不法就労事件は、留学先から逃げ出したフィリピン人が横浜のバーで働いていた事件で、法廷通訳がついていました。追起訴があるため、追起訴を待ってその後の裁判を進めるとのことでした。
暴力団員による暴行事件は継続の事件でしたが、入れ墨や口調がいかにも暴力団員であり、傍聴した学生は「本物の暴力団員を初めて見た。怖い」と感想を述べていました。
なお、時間に余裕のある班は、裁判所の隣にある法務省の法務史料展示室も見学をしました。見学をした学生は、「法律に関する本物の資料を見ることができて、勉強になった」と述べていました。
「刑事裁判の特別傍聴会」を行いました。
当日は、窃盗事件を傍聴する班と、覚せい剤使用事件を傍聴する班とに分かれて傍聴しました。
窃盗事件は、判決以外の裁判手続きを一通り傍聴することができました。反省のない被告人に対して裁判長が怒るという光景も見られました。
覚せい剤使用事件は、被告人質問の途中までの手続きが行われましたが、そのまま模擬裁判にできるような裁判手続きが行われていました。
どちらの事件も再犯であり、更生の難しさを考えさせられました。
全国矯正展見学会を行いました。
今回の全国矯正展は、60回目の記念展だそうで、例年行われている刑務所作業品展示即売や刑務作業体験、性格検査体験などのほか、「行刑の歴史」の特別展示もあり、普段見ることのできない刑務所所蔵の歴史的資料も見ることができました。歴史的資料から法育を考えていくことが、今後の課題のひとつになりそうです。
中学3年生の公民の授業の一環として、模擬評議を行いました。
6~7人のグループを作り、日本法育学会作成の脚本や資料を用いて、それぞれの担任の先生の指導のもと、活発な評議が行われました。生徒たちは脚本を読み込み、事件関係者の動きを再現するなどして、事件当日の出来事を詳細に想像し、矛盾点を洗い出していました。一人ひとりが主体的に考え、意見を述べることができ立派でした。
少年刑務所参観を行いました。普段我々が入ることができない場所を見ることができました。
木工、車両整備、野菜栽培、理容など、さまざまな刑務作業や職業訓練の様子を見ることができました。その様子は学校のようでもあり、工場のようでもありました。受刑者たちは一見すると悪いことをしたとは思えないほど真面目に刑務作業をしており、あとはどうすればうまく社会復帰できるのだろうかと考えさせられました。
中央学院大学大久保ゼミナールとの共催で裁判傍聴をしました。
一連の刑事裁判の流れを把握しようとして傍聴した覚せい剤所持・使用事件の裁判は、弁護人から証拠開示請求がされたため、冒頭手続きのみで終わってしまいました。
続いて傍聴した裁判員裁判では、医師である証人に対する証人尋問が行われていました。法律用語や医学用語といった専門用語が出てくる中、証人や弁護人に対して、裁判長が「裁判員の皆さんにわかるように説明してください」と言っていたのが印象的でした。また、CT画像の説明に、書面カメラとタッチパネル画面が使われていました。
裁判員裁判を傍聴して、「手続きの一部でも裁判員裁判を傍聴できたのは貴重な体験だった」と言った学生がいた一方で、「難しい専門用語が出てくる中で判断を迫られる裁判員は荷が重いだろう」と感想を述べた学生もいました。
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